2026年9月30日。フードデリバリーサービス「menu」がサービスを終了します。その約半年ほど前には、Woltも日本市場から撤退しました。一方で日本のフードデリバリー市場から需要そのものが消えたわけではありません。
むしろ現在は、Uber Eats、出前館、Rocket Now(ロケットナウ)という主要サービスへ、市場が急速に集約されつつあります。
では、この3社の中で現在もっとも強いのはどこなのでしょうか。そして、5年後も生き残っている可能性が高いのはどこなのか。単純なアプリの人気だけでは判断できません。
フードデリバリーでは、利用者数・加盟店数・注文密度・配達員数・価格競争力・収益性・資金力・広告投資・小売・クイックコマースへの展開など、複数の要素が絡みます。
特に2026年は、Uber Eatsが黒字を維持しながら「お店と同じ価格」を拡大。出前館は「お店価格+送料無料」を展開しながら巨額の赤字を抱える。Rocket Nowは送料・サービス料無料を武器に異例の速度で全国へ拡大。という、3社それぞれ全く異なる戦略を取っています。
この記事では、2026年8月時点で確認できる最新の公開情報をもとに、Uber Eats・出前館・Rocket Nowの現在の実力と、menu撤退後の日本市場で誰が優位に立つのかを徹底的に分析します。
※menuがなぜ撤退したのかについてはこちらで詳しく分析しています。
→【関連記事】menuはなぜ撤退したのか?市場規模8,240億円でも生き残れなかった理由を徹底分析
まず結論:現時点ではUber Eatsが圧倒的に優位
最初に結論から言います。2026年8月時点で、もっとも安定したポジションにいるのはUber Eatsと考えられます。
理由は、大きなユーザー基盤・大規模な加盟店ネットワーク・多数の配達パートナー・高い注文密度、そして日本事業ですでに黒字化しているからです。
一方、もっとも勢いがあるのはRocket Now。そして、もっとも難しい局面にいるのが出前館というのが、現在の公開情報から見た大まかな構図です。
ただし、勢いがある=将来的に勝つではありません。Rocket Nowは現在急成長していますが、利益を出せる構造を作れるかどうかはまだ分かりません。また出前館も巨大な知名度とユーザー基盤を持っており、簡単に消えるサービスではありません。
そのため現在の市場は、「Uber Eatsが先行、Rocket Nowが猛追、出前館が再建を迫られている」
と見るのが最も近いでしょう。
3社を一度比較してみる
まず現在の特徴を簡単に整理します。
| 項目 | Uber Eats | 出前館 | Rocket Now |
|---|---|---|---|
| 現在の立ち位置 | 最大手 | 国内大手 | 急成長中 |
| MAU | ◎ | ○ | 急増中 |
| 加盟店・ネットワーク | ◎ | ◎ | 拡大中 |
| 配達員網 | ◎ | ○ | 急拡大中 |
| 価格競争力 | ◎ | ◎ | ◎ |
| 収益性 | ◎ | △ | 不明 |
| 資金力 | ◎ | ○ | ◎ |
| 成長速度 | ○ | △ | ◎ |
| 注文密度 | ◎ | ○ | 地域差大 |
| 最大の強み | 規模と黒字 | 知名度・国内基盤 | 成長速度と価格 |
| 最大の課題 | 首位維持 | 巨額赤字 | 収益化 |
ここから一社ずつ詳しく見ていきます。
Uber Eatsの強み① 日本ですでに黒字化している
最も重要な数字から見てみます。Uber Eats Japanは2026年3月、2023年から2025年まで3年連続で日本事業が黒字だったと発表しています。さらに、2026年1月には過去最高売上を記録。
現在のネットワークについても、加盟店:約12万店舗、配達パートナー:約10万人と公表しています。
フードデリバリーでは、「注文が多い」だけでは十分ではありません。ユーザー獲得のために大量のクーポンを配布し、加盟店営業を行い、配達員へ高いインセンティブを出せば、注文数自体は増やすことができます。重要なのは、それでも利益を出せるか
です。Uber Eatsが日本で3年連続黒字を達成しているという事実は、競合と比較するうえで非常に大きな意味を持ちます。
Uber Eatsの強み② MAUで安定したトップ
アプリ市場分析会社Sensor Towerによると、2025年1月から10月までの日本の主要フードデリバリーアプリでは、Uber EatsがMAU(月間アクティブユーザー数)で安定してトップを維持しています。出前館がそれに続き、Rocket Nowは急増中という状況でした。
2024年第3四半期のデータでもUber Eatsは主要フードデリバリーアプリのMAUシェアで、約46%を占めていました。当時、他社の約3倍という規模です。
アプリのダウンロード数ではRocket Nowが急速に追い上げていますが、「ダウンロードした人」と「毎月使っている人」は別です。この点で現在もUber Eatsには大きな先行者利益があります。
Uber Eatsの強み③ 注文密度
フードデリバリーで最も重要な要素の一つが、
注文密度
です。注文が多ければ、配達員が集まりやすくなります。配達員が多ければ、注文と配達員を短時間でマッチングできます。配達時間が短くなれば、ユーザー満足度が上がります。するとさらに注文が増える、という好循環が生まれます。
Uber Eatsは長年日本市場で注文・加盟店・配達員を積み上げてきました。これはRocket Nowが大量広告を出したとしても、一夜にして作れるものではありません。
Uber Eatsの強み④ 「お店と同じ価格」へ踏み込める体力
Uber Eatsは2026年3月20日、全国約、
1万8,000店舗
で、「お店と同じ価格」を開始しました。さらにUber Oneでは条件を満たす注文について、配達手数料0円・サービス料0円という特典も展開しています。
つまり、すでに強い会社が価格競争にも参加しているわけです。競合からするとこれはかなり厳しい状況です。
Uber Eatsは「フードデリバリー」から生活インフラへ
Uber Eatsは現在、3A戦略を掲げています。
- Anywhere → どこでも使える
- Anything → 何でも届ける
- Affordability → 手頃な価格
という考え方です。つまり目標は、飲食店の料理を届けるアプリから、日常生活で必要なものを届けるプラットフォームへの進化です。
実際、コンビニやスーパーなど小売分野への拡大も進んでいます。さらに2026年4月時点で、Uber Eatsの配達員が店舗内の商品ピック・袋詰め・会計まで行う、PPP(ピック・パック・ペイ)導入店舗も3,000店舗を突破しています。これは将来的な競争を考えるうえでかなり重要です。
Uberのもう一つの武器は「Uber経済圏」
UberにはUber Eatsだけではなく、Uber Taxi・Uber One・Uber for Businessなどがあります。さらに楽天とのID連携も進めています。
Uberによると、2025年12月に開始した楽天とのID連携は2026年6月時点で、150万アカウント以上まで拡大しました。そして日本では、Uber Taxi初回利用者の約4分の1がUber Eatsアプリを経由しているとしています。
つまりUber Eatsは、単独のフードデリバリーアプリではなく、Uber全体の巨大なエコシステムの一部になっています。これは非常に強い構造です。
Uber Eatsの弱点はないのか?
もちろんあります。Uber Eatsが圧倒的に強いからといって、将来も首位が保証されているわけではありません。最大のリスクは、Rocket Nowによる価格競争でしょう。
送料・サービス料無料などが消費者の基準になれば、Uber Eatsも価格面で対抗し続ける必要があります。さらに、加盟店手数料・配達報酬・サブスクリプション料金など、どこから利益を取るのかというバランスが難しくなります。
ただし現在の公開情報だけを見る限り、この価格競争へ最も余裕を持って対応できるのもUber Eatsと考えられます。
次に出前館を見る
出前館は、日本では非常に知名度の高いサービスです。Uber Eatsよりも歴史が長く、「デリバリー=出前館」というイメージを持つ人も少なくありません。現在も全国規模でサービスを展開しています。しかし2026年、出前館はかなり難しい局面にいます。
出前館の強み① 日本市場で圧倒的な知名度
出前館最大の強みは、日本市場で長年積み上げてきたブランド認知です。海外サービスが撤退を繰り返す中でも、出前館は日本市場で事業を継続しています。Sensor Towerの2025年データでも、MAUではUber Eatsに次ぐポジションを維持しています。
つまり、実際に継続利用しているユーザーが大量に存在するということです。
出前館の強み② 「お店価格」が2万1,000店舗
2026年3月から出前館は、「お店価格で出前館」を全国へ展開しました。そして2026年6月1日時点で、
約2万1,000店舗
まで拡大。そのうち、1万6,000店舗以上ではすべての商品を店頭と同じ価格で注文できます。さらに送料無料も継続しています。ユーザーからすると、かなり強力な施策です。
出前館の課題:79億円の営業赤字予想
問題は収益性です。2026年7月15日。出前館は2026年8月期の業績予想を下方修正しました。当初、営業損失40億円としていた予想を、
営業損失79億円
へ修正。ほぼ倍です。会社側は理由として、オーダー数やGMVが期初想定を下回る見込みであることを挙げています。
さらに2026年8月期第3四半期累計では、売上高:約282.9億円、営業損失:約63.7億円となっています。つまり、大規模な値下げ施策を行いながら、かなり大きな損失が発生している状況です。
「送料無料」は強い。しかし誰かがその送料を負担している
ユーザーから見ると送料無料は非常に魅力的です。しかし当然ですが、配達そのものが無料になるわけではありません。配達員への報酬、システム、サポート、広告、加盟店営業、決済などの費用は発生します。
つまり送料無料にするなら、加盟店手数料・広告収益・ユーザーの別料金・企業側の負担など、どこかで回収する必要があります。だからこそ、価格施策によって注文数を十分増やせるかが重要になります。
出前館はなくなるのか?
この数字だけを見て、「出前館も撤退するのでは?」と考えるのは早計です。出前館には、巨大なブランド認知・大量のユーザー・全国規模の加盟店・配達ネットワークという資産があります。そして日本のフードデリバリー市場でUber Eatsに次ぐ規模を持つサービスです。menuやWoltとは立ち位置が違います。
ただし、
収益化
が最大の課題であることは間違いありません。今後、送料無料や店頭価格で注文を増やし、そのユーザーを定着させ、利益が出る構造へ変えられるか。ここが出前館の生き残りを左右するでしょう。
そして最も勢いがあるRocket Now
現在、最も注目されている存在が、Rocket Now
です。2025年1月14日に日本でサービスを開始。まだ参入から2年も経っていません。しかしその成長速度はかなり異例です。
Rocket Nowは700万ダウンロードを突破
2026年6月22日。Rocket Nowは、
累計700万ダウンロード
を突破したと発表しました。サービス開始から約18か月です。
さらにSensor Towerのデータでは、2025年1月から10月までのフードデリバリーアプリDL数で、Rocket Nowが220万以上となり、Uber Eatsを上回ってトップ。2025年に日本へ参入したばかりにもかかわらず、猛烈な速度でユーザーを獲得しています。
Rocket Nowは46都道府県・420都市まで拡大
さらに2026年8月7日。Rocket Nowはサービス対象エリアを、
46都道府県・420都市
まで拡大したと発表しました。ほぼ全国規模です。2025年1月に東京からスタートしたサービスが、約1年半でこの規模まで拡大しています。通常のスタートアップではかなり難しい速度です。
Rocket Now最大の武器は「送料・サービス料無料」
Rocket Nowがユーザーへ強く訴求しているのが、
送料0円・サービス料0円
です。既存デリバリーの利用者が感じていた、「料理そのものより高くなる」という不満を正面から狙っています。非常に分かりやすい戦略です。さらに「お店と同価格」の対象店舗も拡大しています。ユーザー獲得という意味では非常に強力です。
Rocket Nowはなぜここまでお金を使えるのか?
背景にあるのが、Coupangです。Rocket Nowを運営するCP One Japanは、NYSE上場企業Coupangの日本法人です。Coupangは、小売・物流・フードデリバリー・動画配信・フィンテックなどを展開する大手テクノロジー企業。Rocket NowはCoupangのグローバルブランドの一つとして位置付けられています。
つまりRocket Nowは、小さな独立系スタートアップではありません。強力な資本・物流・テクノロジー基盤を持つ企業グループが、日本市場を取りに来ています。これが既存サービスにとって非常に厄介です。
Rocket Nowの弱点① まだMAUではUber Eatsが上
一方で、DL数が多い=Uber Eatsを抜いたわけではありません。Sensor Towerによると2025年1月~10月のMAUでは、Uber Eatsが安定してトップ。出前館が続き、Rocket Nowはその下から急成長していました。
アプリをインストールした人が、実際に継続利用するかどうか。ここが今後非常に重要になります。700万ダウンロードしても、半年後に使われなくなれば意味がありません。
Rocket Nowの弱点② 日本事業の収益性が分からない
もう一つ非常に重要なのが、
収益性
です。Uber Eatsは日本事業で3年連続黒字を公表しています。出前館は上場企業なので赤字額まで分かります。一方Rocket Nowについては、日本事業単体の売上高・営業利益・注文数などの詳細な財務情報は公開されていません。
そのため、700万DL・46都道府県420都市・送料無料・サービス料無料という成長は確認できますが、その成長が利益を伴っているかどうかは分かりません。ここは非常に重要です。
「送料無料・サービス料無料」は永遠に続けられるのか
Rocket Now最大の注目点はここです。現在は、送料0円・サービス料0円という非常に強い価格でユーザーを獲得しています。しかし市場シェアを十分に確保した後も、同じ条件を維持できるのか。それとも、会員制度・広告収益・加盟店側の収益・別の料金体系などへ移行するのか。
今のRocket Nowは、「成長できるか」ではなく、「成長した後にどう儲けるか」という次の段階へ近づきつつあります。
3社の収益性を比較すると大きな差がある
ここまでを収益性だけで見ると、
Uber Eats
日本で3年連続黒字 → すでに事業モデルが成立している可能性が高い。
出前館
2026年8月期営業損失79億円予想 → 注文規模は大きいが収益化に苦戦。
Rocket Now
日本単体の利益非公開 → 急成長中だが採算性は判断できない。
かなり違います。長期戦になるほど、利益を出しながら戦える企業が圧倒的に有利です。この点では現在Uber Eatsが一歩どころか数歩先にいます。
では「資金力」はどうか?
資金力では、Uber・Coupangという世界的な大企業が背後にいる、Uber EatsとRocket Nowが非常に強いです。一方出前館も上場企業であり、大規模なサービスを運営しています。ただし巨額赤字を何年続けられるのかという問題があります。
フードデリバリーの競争では、広告・割引・送料無料・加盟店獲得・配達員インセンティブ・システム投資などに莫大なお金がかかります。市場がさらに価格競争へ向かえば、資金力の差が今以上に重要になる可能性があります。
menu撤退によって最も得をするのは誰か?
ここからが今回の記事で最も面白い部分です。menuが撤退すると、menuに存在していたユーザー・加盟店・配達員が市場から消えるわけではありません。その多くが他社へ移動します。では、誰が最も取り込むのでしょうか。
ユーザー獲得ではRocket Nowが有利な可能性
menuユーザーには、Pontaパスなどを利用し、配送料を安くしたいという層も一定数いました。そうした価格重視層に、Rocket Nowの送料0円・サービス料0円は非常に分かりやすい。
そのため、menu利用者の新規獲得という点ではRocket Nowにはかなり追い風になる可能性があります。ただしmenuからの移行先について公式な統計はまだありません。
加盟店ではUber Eatsが強い
加盟店側から見ると、最も重要なのは、注文が入るかです。Uber Eatsはすでに巨大なユーザー基盤があります。新しいサービスへ追加出店することもできますが、最も注文が期待できるサービスへ集中する店もあるでしょう。
その意味では、menu加盟店の受け皿としてUber Eatsは非常に強いポジションです。
配達員は「鳴るところ」へ動く
配達員はさらにシンプルです。報酬だけではなく、注文が鳴るかが重要です。Uber Eatsは注文密度が高い。Rocket Nowは急成長中。出前館にも一定の注文があります。
menu配達員がどこへ移るかは地域差がありますが、一社だけではなく複数アプリへ分散する可能性が高いでしょう。詳しくはこちらの記事で分析しています。
→【関連記事】menu撤退で配達員はどうなる?Uber Eats・出前館・Rocket Nowへの影響を徹底分析
では3社の「勝ち筋」は何なのか?
ここまでの情報を整理すると、それぞれの勝ち方がかなり違います。
Uber Eatsの勝ち筋
Uber Eatsは、
「すでに持っている規模をさらに強くする」
戦略です。注文・加盟店・配達員。これらのネットワーク効果を利用して、地方へ拡大。小売へ拡大。価格を下げる。Uber Taxiとも連携。という形です。
つまり、現在の優位性をそのまま生活インフラへ広げるのが勝ち筋です。
出前館の勝ち筋
出前館は、
「注文数を取り戻して黒字化する」
ことが最重要です。お店価格・送料無料・LYPプレミアムなどを利用してユーザーを増やす。そのうえで、コスト削減・配達効率向上・広告収益・加盟店収益などを改善し、利益が出る構造へ転換する必要があります。
出前館にとって今は、市場シェア争い以上に、収益構造改革が重要でしょう。
Rocket Nowの勝ち筋
Rocket Nowは、
「今の勢いのまま注文密度を作る」
ことです。全国へエリアを広げるだけでは不十分です。重要なのは、各地域で実際に大量の注文を発生させ、配達員を集め、加盟店を増やし、ネットワーク効果を発生させること。そこまで到達できれば、Uber Eatsにとって本当に脅威になります。
そして次に、その規模をどう収益化するのかが課題になります。
勝敗を分ける7つのポイント
今後3社を見るなら、次の7つを追うとかなり分かりやすいです。
1.MAU
新規ダウンロードではなく、毎月実際に利用している人が増えているか。特にRocket Nowで重要です。
2.注文数・GMV
ユーザー数が多くても注文しなければ意味がありません。出前館も2026年の業績下方修正理由として、注文数・GMVが想定を下回ることを挙げています。
3.加盟店数
選べる店舗が増えるほどユーザーにとって便利になります。
4.配達員数と注文密度
配達員が多いだけではなく、注文とのバランスが重要です。
5.収益性
長期的には最重要。赤字のまま何年も戦うことはできません。
6.価格競争
送料・サービス料・商品価格・サブスク。どこまで安さを維持できるのか。
7.フード以外への拡大
コンビニ・スーパー・日用品・小売。今後はここがかなり重要になります。
配達員目線では「どこが勝つか」より「どこが稼げるか」
ここでデリログとして一つ重要なことがあります。配達員にとって、市場シェア1位のアプリ=一番稼げるアプリとは限りません。
例えば、Uber Eatsは注文数が多いが配達員も多い。Rocket Nowは注文数は少なくても報酬が高い。出前館は特定時間帯のインセンティブが強い。というケースもあります。
そのため配達員は、企業全体の順位より、自分の地域・時間帯における実質時給を見る必要があります。
menu撤退後は複数アプリ運用がさらに重要になる
Woltが終了。menuも終了。配達員が稼働できるプラットフォームは減っています。しかし一方でRocket Nowが全国へ拡大。今後は、Uber Eats・出前館・Rocket Nowを比較し、時間帯やエリアによって使い分ける働き方がさらに重要になるかもしれません。
特定のアプリだけへ依存すると、報酬変更・クエスト変更・アカウントトラブル・サービス終了などの影響をすべて受けます。menu撤退は、プラットフォーム自体がなくなるリスクを実際に示しました。
2026年8月時点の「強さランキング」をあえて付けるなら
公開情報をもとに、あえて現在の総合力を順位付けするなら、
1位 Uber Eats
です。理由は、MAUトップ・約12万加盟店・約10万人配達パートナー・3年連続黒字・高い注文密度・小売への拡大・Uber全体とのエコシステムです。
2位は現在なら出前館。ただしRocket Nowが猛追
現在のMAUや既存ユーザー規模を考えると、2位はまだ出前館と見るのが自然でしょう。Sensor Towerでも2025年時点ではUber Eatsに次ぐMAUを維持しています。
ただし、Rocket Nowが猛烈に追っています。700万ダウンロード。46都道府県・420都市。送料・サービス料無料。この成長が続けば、MAUでも出前館を抜く可能性は十分あります。
「最も将来が読めない」のがRocket Now
Rocket Nowは、成功すればUber Eats最大のライバルになる可能性があります。一方、現在の価格戦略を維持しながら利益を出せなければ、どこかで戦略を変更する必要があります。
つまり、上にも下にも振れ幅が一番大きい。それがRocket Nowです。
3年後を予想するなら?
ここからは完全に分析・予測です。2026年8月現在の情報から考えると、最も可能性が高そうなのは、
シナリオA
- Uber Eats → 首位維持
- Rocket Now → 2番手へ成長
- 出前館 → 規模縮小または収益重視へ
という形です。しかし、
シナリオB
- Uber Eats → 首位
- 出前館 → 黒字化に成功し2位維持
- Rocket Now → 成長鈍化
も十分あり得ます。あるいは、
シナリオC
- Rocket Now → 投資継続で急成長
- Uber Eats → 首位争い
- 出前館 → 3位
となる可能性もあります。今の段階では、Uber Eats以外の順位はまだ決まっていない
というのが一番妥当でしょう。
一番危険なのは「ダウンロード数だけ」で判断すること
Rocket Nowについて、「Uber Eatsを抜いた」という表現を見かけることがあります。確かに2025年の新規ダウンロードではRocket NowがUber Eatsを上回った期間があります。
しかし、ダウンロード数・MAU・注文数・GMV・売上・利益は全部違います。例えばアプリを100万人がダウンロードしても、1回しか使わなければビジネスとしては弱い。逆に50万人しかダウンロードしなくても、毎週使ってくれれば強い。
フードデリバリー企業を比較するなら、一つの指標だけを見ないことが非常に重要です。
最終的に最も重要なのは「注文密度×収益性」
私は3社の長期的な勝敗を見るうえで、最も重要なのは、
注文密度 × 収益性
だと考えています。
注文密度だけ高くても、1件配達するたび赤字なら続きません。利益率だけ高くても、注文が少なければ成長しません。大量の注文を、効率よく、利益が残る形で配達できる。この構造を最も早く作ったサービスが、日本のフードデリバリー市場で最終的に強くなります。
現在、それに最も近いのがUber Eats。Rocket Nowは注文密度を猛烈に作っている途中。出前館は注文規模を維持しながら収益構造を改善している途中。という違いがあります。
menu撤退によって3社の競争はむしろ激しくなる
menuが消えれば、競合が一社減ります。普通なら、「残った会社は楽になる」と思います。しかし実際には逆になる可能性があります。
menuユーザー。menu加盟店。menu配達員。これらを、Uber Eats・出前館・Rocket Nowが奪い合うからです。
特にRocket Nowにとっては、市場シェアを伸ばす大きなチャンス。Uber Eatsにとっては、首位をさらに強固にするチャンス。出前館にとっては、注文数を増やすチャンス。
つまりmenu撤退後、
残った3社の競争はさらに激しくなる
可能性があります。
まとめ:現時点の本命はUber Eats。しかしRocket Nowの伸びは無視できない
menu撤退後、日本の主要フードデリバリー市場は、Uber Eats・出前館・Rocket Nowの3社を中心とした構図へ移りつつあります。現在の公開情報を整理すると、
Uber Eats
日本事業で3年連続黒字。MAUトップ。約12万加盟店。約10万人の配達パートナー。小売・Uber Taxiなどへのエコシステム拡大。→ 現在もっとも完成度が高い。
出前館
日本で高い認知。MAUでも上位。お店価格2万1,000店舗。送料無料。しかし2026年8月期営業損失79億円予想。→ 規模はあるが収益化が最大の課題。
Rocket Now
参入約18か月で700万ダウンロード。46都道府県・420都市へ拡大。送料・サービス料無料。Coupangという強力な後ろ盾。ただし日本事業単体の収益性は不明。→ 最も勢いがあるが、まだ完成形ではない。
そのため、
現時点で最後まで生き残る可能性が最も高そうなのはUber Eats
と考えます。ただし、
最も今後の勢力図を変える可能性があるのはRocket Now
です。そして、
最も今後数年の戦略が重要なのが出前館
でしょう。
menu撤退。Wolt撤退。そしてRocket Nowの急成長。2026年は、日本のフードデリバリー市場が「多数のサービスが競争する時代」から「数社による本格的な寡占競争」へ変わる年なのかもしれません。
しかし、本当に重要なのは、「どのアプリが最後に残るのか」だけではありません。その過程で、送料・商品価格・配達員報酬・クエスト・加盟店手数料・サービス料がどう変わるのか。それこそがユーザー・加盟店・配達員にとって最も重要なポイントです。
今後もデリログでは、Uber Eats・出前館・Rocket Nowそれぞれの利用者数、料金施策、配達報酬、決算、市場シェアなどを追いながら、日本のフードデリバリー業界の変化を検証していきます。
→【関連記事】Woltに続きmenuも撤退。日本のフードデリバリー業界で何が起きているのか?
→【関連記事】menuはなぜ撤退したのか?市場規模8,240億円でも生き残れなかった理由を徹底分析
→【関連記事】menu撤退で配達員はどうなる?Uber Eats・出前館・Rocket Nowへの影響を徹底分析
→【関連記事】menuが2026年9月30日でサービス終了へ|撤退理由・利用者への影響はこちら
参考情報・出典
本記事は2026年8月20日時点で公開されている情報をもとに作成しています。
主な参照情報:
- Uber Eats Japan「お店と同じ価格」および2026年の日本事業実績
- Uber Eats Japan「3A戦略」関連発表
- Uber Eats「ピック・パック・ペイ」導入状況
- Uber Japan・楽天連携関連発表
- Sensor Tower「日本のフードデリバリーアプリ」調査
- 株式会社出前館「2026年8月期 業績予想の修正に関するお知らせ」
- 株式会社出前館「2026年8月期 第3四半期決算短信」
- 株式会社出前館「お店価格で出前館」関連発表
- CP One Japan「Rocket Now 累計700万ダウンロード」
- CP One Japan「46都道府県・420都市へのサービスエリア拡大」
- Coupang, Inc. 公開資料
なお、本記事内の「順位」「将来シナリオ」「勝ち筋」などは、各社が公式に発表した順位予測ではありません。公開されている利用状況・事業規模・財務情報・成長施策などをもとにした本記事独自の分析です。
またRocket Nowについては、日本事業単体の最新売上高・営業損益・GMV・注文数などの詳細な財務数値が一般公開されていないため、収益性について推測で断定していません。




