配達用にスマホやバイクを買っても、支払った金額をそのまま、その年の経費にできるとは限りません。確認するのは取得価額、取得日、配達で使い始めた日、青色申告の適用条件です。
2026年は特に注意が必要です。一定の青色申告者が使える少額減価償却資産の特例は、2026年4月1日以後の取得分から「40万円未満」になりました。「30万円未満」と書かれた古い解説だけで判断しないようにしましょう。
この記事は、個人の配達業で使う購入資産の所得税上の扱いを整理したものです。リースや貸付用の資産、法人の処理は対象にしていません。
10万円・20万円・40万円は、それぞれ別のルール
スマホ、バイクなど長く使う道具は、原則として取得価額を耐用年数などに応じて分けて必要経費にします。これが減価償却です。少額の資産には、次の扱いがあります。
| 取得価額など | 主な扱い |
|---|---|
| 10万円未満、または使用可能期間が1年未満 | 業務で使い始めた年に必要経費へ |
| 10万円以上20万円未満 | 通常の減価償却のほか、一定の要件で3年間に3分の1ずつ経費にする「一括償却資産」を選択可能 |
| 10万円以上40万円未満 | 2026年4月1日以後の取得分は、一定の青色申告者に限り、少額減価償却資産の特例を検討可能。年間の取得価額合計300万円までなどの条件あり |
| 40万円以上 | 上の少額減価償却資産の特例の対象外。通常の減価償却を確認 |
「未満」なので、10万円ちょうどは10万円未満の扱いに入りません。20万円ちょうどは一括償却資産の対象外、40万円ちょうどは上記特例の対象外です。10万円以上20万円未満の資産に、一括償却資産と青色申告者向け特例を重ねて使うこともできません。
35万円のバイクは、取得日で特例の対象が変わる
次は、取得価額35万円、配達専用で使用するバイクの仮の例です。青色申告者向け特例のその他の要件を満たすものとします。
- 2026年3月31日までに取得:旧基準は30万円未満なので、35万円のバイクはこの特例の対象外です。
- 2026年4月1日以後に取得:40万円未満の基準に入るため、特例の適用を検討できます。
現在の特例は、2029年3月31日までに取得し、業務に使い始めた資産が対象です。古い資産の基準が、2026年4月になっただけで自動的に40万円未満へ変わるわけではありません。
また、「年末に注文した」「代金を払った」だけで、その年の経費になるとは限りません。取得日とは別に、実際に業務で使い始めた日を確認してください。年末に購入して翌年から使う場合は、購入年への計上を決めつけないことが大切です。
金額を見る前に、ここを確認
税込・税抜は自分の経理方式に合わせる
金額基準の判定は、税込経理なら税込、税抜経理なら税抜で行います。消費税の免税事業者は税込経理です。商品ページの税抜価格だけを見て「10万円未満」と判断しないようにしてください。
買い物1回分ではなく、通常の取引単位で見る
特例の判定は、通常1単位として取引される1台、1個、1組などで行います。別々の独立した道具を同じ日に買ったからといって、レシートの合計だけで1つの資産にするものではありません。一方、1組で機能するものを都合よく分割するのも避けます。根拠:国税庁・措置法通達28の2-2。
分割払いの月額で判定しない
金額基準は、1回の支払額ではなく資産の取得価額です。分割で購入したスマホを、毎月の支払いが少額だからという理由で10万円未満の道具として扱うことはできません。
私用分まで経費にはしない
仕事と私生活で兼用するスマホやバイクでは、私用分を含めた全額が必要経費になるわけではありません。業務割合の考え方は、スマホ代・ガソリン代の家事按分で整理しています。金額基準は、業務割合を掛ける前の資産の取得価額で判定します。例えば取得価額15万円のスマホを業務で50%使う場合でも、「業務分は7万5,000円だから10万円未満」とは判定しません。




