12月の配達報酬が、口座に振り込まれるのは翌年1月。今年の売上から外してよいのか、年末になると迷いやすいところです。
原則は、入金日ではなく報酬を受け取る権利が確定した年の収入です。ただし、要件を満たして現金主義の特例を使う場合は扱いが異なります。まず自分の計算方法を確認してから、年末の未入金分を拾いましょう。
1月入金でも、12月の収入になる場合がある
国税庁は、年末にまだ受け取っていない金額でも、収入を受け取る権利が確定していればその年の収入に含めると説明しています。いつ確定するかは、取引の内容や契約などによって判断します。国税庁「収入金額とその計算」
事業所得については、役務の提供完了時などを基準とする取扱いがあります。ただし、報酬を期間や提供の程度に応じて受け取る契約などには別の定めもあります。所得税基本通達36-8
そのため、配達日、アプリの表示日、週ごとの集計日、銀行への入金日を同じものとして扱わないことが大切です。本記事では、特定サービスの報酬がどの日に確定するかまでは断定しません。年またぎの追加報酬や調整分は、対象の配達と支給条件が分かる明細・契約を確認してください。
架空の例:12月の報酬3万円が1月に振り込まれたら
以下は説明用の架空例です。現金主義の特例を使わず、2026年12月中に配達を終え、報酬3万円を受け取る権利も同月中に確定したものとします。年末には未入金で、2027年1月8日に3万円が振り込まれました。手数料、現金回収、相殺、追加調整はない設定です。
| 確認する時点 |
この例での整理 |
| 2026年12月 |
3万円を2026年分の売上に含める。 |
| 2026年12月31日 |
まだ受け取っていない3万円を売掛金として把握する。 |
| 2027年1月8日 |
売掛金3万円の回収として記録する。同じ3万円を2027年の売上にもう一度加えない。 |
「売掛金」は、売上として計上したものの、まだ回収していない代金です。国税庁の記帳資料でも、売上の記録と売掛金の回収を分けて管理する帳簿が示されています。国税庁「記帳のしかた及び帳簿の保存」(PDF)
この例で、1月の銀行明細から自動で「売上3万円」が登録された場合は、前年に計上済みの報酬かを確認します。入金を消してしまうのではなく、売掛金の回収と対応させるのがポイントです。
現金主義の特例を使う人は、同じ結論にならない
入金された年を基準に計算できる特例もあります。ただし、「副業だから」「金額が少ないから」だけでは決められません。事業所得か業務に係る雑所得かで、要件と手続が違います。
- 事業所得の青色申告者:前々年分の事業所得と不動産所得の合計が300万円以下であることなどが要件です。この金額は事業専従者給与・控除を必要経費に入れずに計算します。適用には期限内の届出が必要なので、青色申告をしているだけでは足りません。国税庁「現金主義による所得計算の特例を受けるための手続」
- 業務に係る雑所得:前々年分のその業務の収入金額が300万円以下の場合、現金主義の特例を選べます。こちらは「所得」ではなく「収入」で判定し、確定申告書に特例を受ける旨を記載する必要があります。国税庁「雑所得」
年をまたいで同じ現金主義の特例を適用している場合、先ほどの例の3万円は、実際に受け取った2027年分の収入として扱います。12月の未入金分だけを都合よく翌年に回す方法ではありません。適用状況が分からない場合は、過去の届出や申告書を確認してください。
なお、所得区分は好きな方を選ぶものではありません。事業所得に当たるかは、活動の実態を踏まえて判定されます。区分そのものに迷う場合は、税務署や税理士に確認しましょう。所得税基本通達35-2
年末は「未入金一覧」を1枚作っておく
原則の方法で計算する人は、12月31日時点で未入金の報酬について、次の項目を一覧にしておくと、年明けの照合がしやすくなります。これは確認用メモの提案であり、法定の帳簿や証憑の保存を置き換えるものではありません。
- サービス名と対象の配達・報酬明細
- 年内に権利が確定したと判断した日と、その根拠
- 売上として計上した金額と、年末の未入金額
- 翌年の入金日・入金額、差額がある場合の内訳
- 帳簿で売掛金の回収と対応させたか
お客さんから回収した商品代金と、自分が得る配達報酬は、一覧でも別にしてください。銀行への振込額だけから報酬額を逆算するのではなく、明細の報酬・回収・相殺の内訳を確認します。
年末に見るのは「最後に振り込まれた金額」だけではありません。自分に適用される計算方法を確かめ、原則の方法なら年内に確定した報酬のうち未入金のものを残す。年が明けたら入金と照合する。この二段階で、計上漏れと二重計上を防ぎましょう。
2026年11月1日(日本時間)に国税庁の公表資料を確認した一般的な解説です。個別の契約の判定、特例の適用可否や方法の変更については、税務署または税理士にご確認ください。
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