アプリAで2時間30分、アプリBで3時間30分。合計の稼働時間は6時間でしょうか。両方を同じ時間帯にオンラインにしていたなら、そのまま足すと同じ時間を二重に数えてしまいます。
掛け持ち全体の効率を見るときは、売上は各アプリ分を合計し、時間は重なった部分を1回だけ数えるのが出発点です。そのうえで、休憩や回送をどこまで含めるかをそろえます。
この記事では、紙のメモや表計算でもできる計算方法を紹介します。以下のアプリA・B、金額、時刻はすべて架空の例です。実際の報酬水準や特定サービスのルールを示すものではありません。
1.まず「何の時間単価か」を決める
ここでいう「時給」は、売上などを時間で割った振り返り用の時間単価です。賃金として保証された時給ではありません。同じ売上でも、分母を変えると数字は変わります。
| 見たいこと | 分母にする時間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 配達作業中の効率 | 受諾から完了までなど、決めた範囲の作業時間 | 依頼待ちを含まないため、その日の働き方全体は分からない |
| その稼働枠の効率 | 待機・店舗待ち・業務上の移動を含む稼働時間。私用の休憩は除く | 複数アプリの重複を除き、オフライン中の業務移動も確認する |
| 生活時間に対して割に合うか | 上の稼働時間に、準備や往復の移動なども加えた時間 | どの時間を加えたかを明記し、毎回同じ範囲で比べる |
本稿では2番目を「稼働時間」、3番目を「準備・往復込み時間」と呼びます。アプリをオフラインにしていても、次の受取エリアへの移動など仕事のための時間なら、稼働時間から機械的に消さないようにします。
反対に、食事や私用で仕事を中断している時間は休憩として区別します。「鳴らないので待っていた時間」を休憩扱いにすると、待機の長い日の効率が実態よりよく見えてしまいます。
2.オンライン時間は「足す」のではなく、時刻でつなぐ
次のような1日を考えます。13時30分から14時までは完全に仕事を離れた休憩で、この例にはオンライン区間外の業務上の移動はありません。
| アプリ | オンライン区間 | 時間 |
|---|---|---|
| A | 11:00〜13:30 | 2時間30分 |
| B | 12:00〜13:30/14:00〜16:00 | 3時間30分 |
| 単純合計 | 重複を含む | 6時間 |
AとBが重なっているのは12時から13時30分までの90分です。1人が使った時間としては、11時から13時30分の150分と、14時から16時の120分を数えます。
稼働時間=150分+120分=270分=4.5時間
2アプリだけなら「Aの時間+Bの時間−重複時間」でも求められます。ただし3アプリ以上では、重なりを何度も引いてしまいやすいため、次の手順が確実です。
- 各アプリの開始・終了時刻を、日付付きで並べる。
- 開始時刻が早い順に並べ替える。
- 重なる区間を1本につなぎ、いちばん遅い終了時刻まで延ばす。
- つながった区間の長さだけを合計する。
- オフライン中の業務移動など、まだ入っていない仕事の時間を追加する。
休憩は、まだ合計に含まれている場合だけ引きます。この例では30分の休憩がすでに区間の外にあるため、270分からさらに30分を引く必要はありません。日付をまたぐ稼働も、開始・終了の日付まで残せば同じ方法で扱えます。
これは記録の計算例であり、他社の依頼を同時に受けることを勧めるものではありません。稼働方法は各サービスの最新の規約・案内に従ってください。
3.売上9,000円でも、見たい数字は1つではない
この日の売上内訳を、次のように仮定します。報酬明細の同じ金額を別欄でも足さないよう、ここでは各欄が重複しない形で並べています。
| 内訳 | A | B | 合計 |
|---|---|---|---|
| 配達報酬 | 4,600円 | 3,200円 | 7,800円 |
| チップ | 200円 | 0円 | 200円 |
| 確定したインセンティブ | 1,000円 | 0円 | 1,000円 |
| 売上合計 | 5,800円 | 3,200円 | 9,000円 |
売上ベース:9,000円÷4.5時間=2,000円/時
もしオンライン時間を足した6時間で割ると、1,500円/時になってしまいます。この差は稼ぎの違いではなく、分母の二重計上だけで生まれたものです。
インセンティブを除く:8,000円÷4.5時間=約1,778円/時
その日の受取対象となる売上を確認するならインセンティブ込み、追加報酬がない条件でも続けやすいかを見るなら抜きの数字も使います。この例では両方にチップ200円を含めています。チップも除いて比べたいなら、7,800円÷4.5時間=約1,733円/時です。
「インセンティブ抜き」と書くだけでは、チップまで抜いたのか分かりません。数字の横に、含めた項目を短く添えておくと比較しやすくなります。
経費を差し引く:8,100円÷4.5時間=1,800円/時
さらに、この日の仕事分として整理した費用を900円と仮定します。売上9,000円から900円を引くと8,100円。その時間単価は1,800円です。
900円の内訳は、たとえば燃料の使用相当額500円、駐輪代100円、整備費・通信費などの日ごとの配分額300円です。すべて説明用の仮定であり、費用の相場ではありません。
給油した日の支払額をその日だけに全部載せると、給油日だけ悪く見えることがあります。日別の比較では使用相当額や決めた配分方法を使い、実際の支払記録とは別に管理すると、比較の条件をそろえられます。整備費などの配分額と実際の支払いを、同じ集計で二重に引かないことも大切です。
この計算は働き方を比較するための管理用です。税務上の必要経費の判定ではありません。また、税金・社会保険料などを引いていない数字を、そのまま「手取り」と呼ばないようにします。
4.準備や帰宅も入れると、判断が変わることがある
先ほどの4.5時間に含まれていない準備・往復が合計30分あったとすると、準備・往復込み時間は5時間です。
- 売上ベース:9,000円÷5時間=1,800円/時
- 経費差引後:8,100円÷5時間=1,620円/時
遠いエリアまで移動する日と近場で稼働する日を比べるなら、この数字も役立ちます。すでに稼働時間に帰宅の時間を含めている場合は、さらに足しません。
休憩も含めて「外出してから戻るまで」を見たい人は、それを別の指標として残しても構いません。重要なのは、ある日だけ休憩を抜いたり、よく稼げた日だけ帰路を除いたりせず、同じ定義で比べることです。




