自転車で配達中、ハンドルに固定したスマホで届け先を確認したくなる場面があります。でも、ホルダーに付けていれば、走りながら画面を注視してよいわけではありません。手に持った場合と固定した場合では取締りの扱いに違いがありますが、固定画面の注視も道路交通法で禁止されています。
2026年4月から始まった自転車の青切符と、スマホの「保持」「固定画面の注視」「交通の危険」の違いを整理します。配達での使い方は、住所や注文内容を読む前に、安全な場所で止まることを基本にしましょう。
確認日:2026年10月31日。一般的な制度と安全上の注意をまとめた記事です。個別の違反の成否を判断するものではありません。
ホルダーに固定したスマホも、走行中の注視は禁止
警察庁のFAQは、自転車に取り付けた携帯電話・スマートフォンでも、画面の注視は禁止されると説明しています。そのうえで、注視によって実際に交通の危険を生じさせた場合は、赤切符による刑事手続の対象になるとしています。
同じFAQには、固定したスマホの注視で交通の危険を生じさせていない場合は、取締りを受けないとの説明もあります。ここは、法律で禁止される行為と、取締りの対象になる条件を分けて読む必要があります。「事故にならなければ見続けてよい」「固定すれば合法」という意味にはなりません。警察庁:よくある質問(取り付けたスマホの確認)
手に持つ場合と固定する場合で、何が違う?
運転中の主なケースを分けると、次のようになります。表はスマホ使用についての整理であり、ほかの交通違反が問題にならないという意味ではありません。
| 行為・状況 | 主な扱い |
|---|
| スマホを手に持って通話する、または手に持った画面を注視する | 携帯電話使用等(保持)。16歳以上の自転車運転者では青切符の対象となり、反則金は12,000円。 |
| ホルダーに固定した画面を注視するが、実際の交通の危険は生じていない | 注視は禁止。警察庁FAQでは、この場合は取締りを受けないと説明。 |
| 手持ち・固定を問わず、スマホの使用・注視で実際に交通の危険を生じさせる | 携帯電話使用等(交通の危険)。青切符ではなく、刑事手続の対象。 |
携帯電話使用等(交通の危険)の罰則は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。保持の反則金12,000円を納めれば、どんなケースも終わるわけではありません。反則金と刑罰としての罰金も別のものです。警察庁:条文・罰則等、警察庁:取締りについて
また、警察庁は「保持」を、重大な事故に直結するおそれが高い違反として挙げています。「最初は注意だけだろう」と考えて、走りながら手に取らないようにしましょう。
2026年の青切符と、2024年の罰則強化は別の変更
- 2024年11月1日:自転車の運転中の携帯電話使用等について、改正道路交通法が施行され、罰則が強化されました。
- 2026年4月1日:16歳以上の自転車運転者に交通反則通告制度、いわゆる青切符が適用されました。
青切符は、対象となる交通違反の処理手続を簡略化する仕組みです。2026年4月に初めて「ながらスマホ」が禁止された、ということではありません。16歳という年齢も青切符の対象を示すもので、16歳未満なら危険な運転が許されるわけではありません。警察庁:自転車の携帯電話使用等の罰則強化、警察庁:自転車の新しい制度
配達中は「読む・押す・返信する」を停車後にまとめる
ホルダーはスマホを固定する道具として使い、画面の確認や操作は運転から切り離しましょう。届け先の建物名、部屋番号、店からの連絡など、読む内容が増えるほど周囲から目が離れます。
出発前に済ませること
- 届け先と経路の大まかな方向、最初に曲がる場所を確認する。
- ホルダーの緩みや端末の収まりを確認し、ブレーキやハンドル操作を妨げない状態にする。
- 出発後に文字サイズや画面の向きを直さなくて済むよう、停車中に調整する。
走行中に通知が来た、道が分からなくなったとき
- 画面を触らず、まず周囲を見る。通知に反応して急停止したり、突然進路を変えたりしない。
- 安全に停止できる場所を確保する。交差点、横断歩道、出入口などの通行を妨げる場所を避け、停車・駐輪のルールにも従う。
- 完全に止まり、自転車から降りて安定させる。人や車の通行を妨げないことを確認してから、住所確認、受諾操作、返信などを行う。
- 操作を終えてから出発する。端末の固定と周囲の安全を確認し、画面を見たまま走り出さない。
安全に止まれる場所がすぐ見つからなければ、画面確認は後にします。道を一本通り過ぎても、走りながら地図を拡大したり、注文内容を読み直したりしない運用にしておくと、迷ったときの行動が決まります。
信号待ちなら、そのまま操作してもいい?
道路交通法第71条第5号の5には、車両が停止しているときを除く旨が定められています。ただし、「信号待ちなら、どんな状況でも安全に操作できる」とは考えないようにしましょう。停止中と、画面を見たまま少しでも進んでいる状態は同じではありません。警察庁掲載:道路交通法第71条第5号の5
配達の住所確認や返信を信号待ちだけで終わらせようとすると、操作の途中で発進する流れになりがちです。まとまった確認が必要なら、信号待ちとは別に安全な停車場所を取りましょう。警察庁も、スマホを使う場合は安全な場所に停車してから使用するよう案内しています。
覚えるのは「固定していても、確認は止まってから」
手に持って通話・注視する場合は「保持」、スマホの使用によって実際の交通の危険を生じさせた場合は「交通の危険」と、扱いが異なります。固定画面だから注視してよい、という例外はありません。
配達では、ホルダーの有無よりも、確認が必要になったら安全に止まる手順を決めておくことが大切です。停車して読む、操作を終える、周囲を確認して出発する。この順番を崩さないようにしましょう。